不安定な情緒を癒して貰うべく、池田亮司さんの展覧会に行きました。
初めて買ったエレクトロニカは、「+/-」です。
嘘です。kid606「ps I love you」です。
しかし、そんな嘘もつきたくなるような、展覧会でした。
とにかく、今回は、映像が素晴らしい。 こんなにも涙が溢れそうになる展示も中々、観られません。 10台のプロジェクターによる映像と、壁一面の映像は、勿論、個々別々に、それぞれ意味を為しているのでしょうが、 意味を考える事自体が無意味で、生への絶望や死への希望みたいな安っぽい事も書いてしまいたくなるほど、深く澄んでいました。 世界の全てが、数学によって構成されている事実を、これほど正確に写し取った作品も珍しいのではないでしょうか? 極めてフォトリアリズム的なアプローチに近いと思います。 思想の面においては、武士道に近いと思います。 常に死を想い、己を諭し、刃を研いでいるような緊張が感じられます。
こんなにも住みたいと思った空間も久し振りです。
しかし、正直、B1の展示は弱いなと感じました。 黒から白への空間の持って行き方は、ICCでの展覧会「db」の方が良かったですし、あちらには無響室という反則もありますし。
無響室なら「つるピカハゲ丸倶楽部」も芸術になる気がします。
池田さんの中で重要視しているのは、"相殺"という事かも知れません。 相反する2対、そのどちらもが重要で、どちらか1つが欠けても成立しない世界。 それは、白黒、ネガポジ、明暗、陰陽、+/-。
B1のパッケージ作品の展示は、「op」で購入を止めた自分には、旧作は懐かしく、新作は興味深く鑑賞出来ました。 個人的には、この資料展示のスペースの両壁に飾られていたアーティストプルーフの版画作品が最も精神性の高い"ヤバいモノ"と感じました。
展覧会の個人的な感想の総括
数値は1と7によってモアレを引き起こし、そこに美が生まれていましたが、マテリアルから離れれば離れるほど、そこには、マテリアルのみ存在し、世界は今、この瞬間も意味の消失に向かっていると感じました。
僕は、この展覧会を鑑賞せずに死んで行く全ての人に、花を手向けたい。
PS: 昨日、書いたムサビの入試の話が本当ならば、白だけ受かるのは間違いで、塗り潰した手作業の行間から溢れ出ていたであろうモアレを生み出した黒も、やはり受かるべきだと思います。
PSPS: 「未来」の無い、黒なんて無い。
東京都現代美術館 | MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO
the official ryoji ikeda web site |
|